メッセージ

2021.9.10

「カーボンニュートラルへのDERの新たな貢献」

幹事 林 泰弘
(早稲田大学 理工学術院先進理工学研究科 教授 / スマート社会技術融合研究機構 機構長)

2050年までのカーボンニュートラル達成を具現化するための重要なステップとして、第6次エネルギー基本計画の策定が進められています。この中で、2030年の電源構成として再生可能エネルギー割合36~38%を目指すことが示されています。この数字は、4年前に策定された第5次エネルギー基本計画から50%強の増加であり、これまでも再エネ導入の主役だった太陽光発電では100GWを超える水準を目標とすることになります。

今後も太陽光発電をスムーズにさらに拡大し、電気自動車の大量導入を進めていくためには、配電線で生じる適正電圧逸脱や線路容量超過を回避する有効な手段が必要となります。そのためには、太陽光発電導入の主体である需要家毎の“点”での上下ディマンドリスポンスのマネジメントを、配電網の“線”としての電圧/潮流のマネジメントに組み込んだ同時最適化の視点が求められると考えています。つまり、配電線の状況に応じて、需要家が保有するDERをうまくコントロールすることで配電系統運用を安定化するということです。

SRNのDER利用拡大ワーキンググループでは、このようなDER活用を目指す検討を行っています。2024年から導入予定の次世代スマートメーターでは、消費電力だけでなく電圧も分オーダーで計測できるようになりますが、そのデータの活用方法など、まだ多くの検討や研究が必要な分野です。SRN会員の皆様と力をあわせて前進して参りたいと思いますので、皆様のご協力をお願いいたします。