メッセージ

2021.6.25

「水害による全電源喪失と生命の危機」

幹事 池内 幸司
(東京大学 大学院工学系研究科 教授 / 東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構 機構長)

近年、これまでの記録を上回るような大雨により甚大な水害が頻発し、多くの人命が失われている。今後、地球温暖化に伴う気候変動により、洪水の発生頻度が2倍から4倍程度に増えることが予測されている。

このような中で、災害から人命を守ることが喫緊の課題となっている。大規模な水害が発生すると、広域的に停電するとともに、非常電源設備や燃料補給設備などが水没して全電源喪失に陥る可能性がある。

病院や福祉施設等には、生命の維持に電源が欠かせない入院患者や入所者が数多くいらっしゃるが、そのような方々は、全電源喪失に陥ると生命の危機に瀕する。

電源の確保は、社会経済活動の維持だけではなく、災害時要援護者の命を守る観点からも最重要課題である。大規模水害時においても、DER等も活用して、命を守るための電源を災害発生直後に速やかに供給できるような体制を早急に構築していく必要がある。